かなみのものさし

あすなろ建築工房で建てた家での暮らしを記録していきます

あすなろ建築工房で建てるまで

「…もうこの家は限界だ!」

「絶対にあと1年で出ていく!!」

 

これはストレスが限界突破した私が騒ぎ出し、
やっっっとの思いであすなろ建築工房さんと出会うまでのお話です。

(建築中に書いていたものを加筆修正しています)

 

当初、家を建てる気なんてこれっぽっちもなかった私たち。
家よりもどこに住むかの方がはるかに大事だと思っていた4年前。

でも、家について考えれば考えるほど

 

「私はこれからどう生きたいのか」

(映画のタイトルみたい笑)

 

という、答えの出ない問題にぶち当たりました。

迷って怒ってブチぎれて(夫に)ようやく手に入れた理想のわが家。

家づくりをしたことで日々の小さな楽しみを家族と共有したり、
自分自身の居場所や、やりたいことを手に入れることができました。


今では心から家を建ててよかったと思える毎日です。

 

ただし!
家を建てることにしてよかったと思えたのは、


私たち夫婦がどんなふうに暮らしたいか

 

を徹底的に考えたからだと感じています。

 

当初、家について夫婦の温度差が天と地ほど違い、それはもう犬も食わない争いの毎日…
そんな争いをへて、ようやく今やりたかったことや理想とする暮らしに近づくことができました。

 

家なんてただの箱

 

そう思っていたころから、家を暮らしの土台だと実感するまでのお話しをまとめました。

恥ずかしながらノンフィクションです…

 

それでは、あすなろさんとの出会いをお楽しみください。

 

当たり前だった不快な家

さかのぼること3年前。


当時住んでいたのは、築30年のアパートの2階。
軽量鉄骨のアパートは夏は蒸し風呂、冬は室内なのに吐く息が白くなるほどよく冷える家でした。

娘は当時1才半。

食べ盛りでムチムチになった娘は、毎日歩く練習とばかりに部屋をドタドタと走り回っていました。
ですが、アパートの2階なのでもちろん自由に走ることはできず…

柵をつけてキッチンに入れないようにしたり、リビングには所せましとジョイントマットがしかれていました。

 

ものが少ないのになぜか部屋は片付かず。

毎日娘のお世話と散らかった部屋の後片付けに追われていました。

 

このころからコロナで在宅になった夫も含め、家族3人の生活で部屋はカオス。

 

常にキッチン横のダイニングテーブルで仕事をする夫。その横で、娘が大声を出さないようにと気を張る毎日でした。

 

仕事の邪魔になるまいとなるべく家から出るようにと日中は公園にお出かけ。
ですが、当時ママ友が一人もいない私は家にも外にも居場所がありませんでした。

 

毎日が同じことのくり返し

 

仕事もしてない私は、毎日生産性がない日々を過ごしていました。

 

あるとき、娘の寝かしつけ前の日課である夫と娘の遊び時間。

布団が敷いてあるのを良いことに、コロコロ転げまわって遊んでいたとき、

 

「っドン!!」

 

と下の階から大きな音がしました。
明らかに下の階から天井をたたくような音でした。

 

(マズい…下の人が怒ってる!!)

 

と、このとき改めて集合住宅の住みにくさを実感しました。

 

きっと階下の方は、毎日ガマンにガマンをため込んで限界だったのかなと感じるとともに、子育てをもっと自由にするにはこのアパートでは無理なのだと感じました。

 

「夫は毎日家にいるし、会議ばっかり」

「静かにしなきゃって言ってもせまいアパートでは無理ゲー」

「そもそも家に自分の居場所がないってめっちゃストレス!!」

 

こうしてようやく、今の暮らしに不満だらけだった私の家さがしが始まりました。

 

 

家なんてなんでも良い?

最初こそ、

 

「とりあえず今より広くて1階ならいいんじゃない?」
「とにかく誰にも迷惑をかけないようにしたい」

 

と、私が考える不満を解消する家さがしが始まりました。

 

そう。この時はまだ家を建てるなんて未来は考えていません。


だって、私たちはこだわりのある豪華な家がほしいわけではなく、ただ快適に住める箱が欲しかっただけだから。

 

夫の会社に近くて、ハザードマップにかからない1階の賃貸。
思いのほか数件のアパートやマンションがヒットし、すぐに家族で内見へ。

部屋に入った瞬間

 

「薄暗いなぁ…」
と感じました。

 

でも、階下の人に迷惑かけるくらいならここがいいじゃん!
と私はだいぶ乗り気でした。

ところが…


「ここの駐車場だと駐車しづらくて~」

 

…はい。始まりました。

夫の後出し文句!

 

最初は意見を言わないくせに、後から文句たれるのマジで!!!!

ってなる現象がこのときから始まりました。

察しの良い方はわかると思いますが、この現象は家を建て始めるまで続きます。

 

「広い駐車場ほしいなら本気出して物件探せよ!!!!」
(夫は車大好き)

 

って心で思いながら、そのまま口から出てました。
しかもここから数十回言いました。

 

でも車への熱い気持ちだけは譲らないため、改めて家の種類を変えて考えてみることにしました。

 

・アパート賃貸
・マンション購入
・中古購入
・中古を買ってリノベ
・建売

などなど。

 

最初こそ賃貸一筋で検討していましたが、賃貸ではどうやっても駐車場がせまい&機械式駐車場など夫の希望にそわないところばかり…

 

そして、ここから1年ほどかけてあらゆる可能性を検討し、不動産屋さんやリノベ会社など毎週末オンラインかお店に足を運ぶようになりました。

 

まぁーーーーでもそのたびに夫が、

「駐車場がせまいと~」
「機械式駐車場はナシ」
「敷地に入るところの段差が~」

それはもう毎度毎度毎度…

 

「…もう!!駐車場に住めや!!!」

って思ってそのまま伝えました。


でも彼の心には、まったく響いていませんでした。

そんな不毛な戦いを毎回繰り返しては険悪な状態になり、夜ごはんのときには一切会話をしない黙食がデフォルトになりつつありました。

 

もう正直夫と話すことすらイヤになっていたのです。

 

まったく家へのあこがれもない状態。それでも早く引っ越さないとまた下の人に迷惑がかかると思い、とにかく気になる家はどんどん見に行っていました。


そしてある建売を見に行った時、私はふと気がつきました。

 

「なんでこのムダな和室があるんだろう?」
「しかも謎に豪華なお風呂…掃除めんどくさそうだな…」

「…あれ?そういえば私はいつも家の不満ばっかり目につくかも」

 

と、このときようやく私自身にも家へのこだわりがあることに気がつき始めました。

 

しかも、そのこだわりは

 

ムダなものをなくしたい!

 

という、普通の人がもつの家へのキラキラした憧れとは真逆のものでした。

 

この時は、既成の家への不満はたくさんあっても、家にたいして期待することはなにもありません。


でももし、いらないものを究極になくした家が作れたら…?

最強に快適に住めるのかもしれない!!

 

と、少しずつ家を建てるという希望の沼に足を踏み入れてしまいました。

 

 

家をたてるとは

気がつくと


「絶対に家を建てる!」
「しかもいらないものをぜーんぶなくした家にする!」

 

と、私はナゾの意気込みをもち始めていました。
ちなみに夫は「へー」って感じで全然聞く耳をもっていませんでした。

いつもですけど。

 

こうして、私の家づくり勉強が開始。


手始めにkindleで家づくりの本を片っ端から読み始め、家系youtubeで勉強し毎日せっせと家づくりの知識を増やしていきました。

 

「断熱、気密??なんじゃそりゃ??」
「【施主】ってなんて読むの??」

 

…恥ずかしながら家づくりレベル0(もはやマイナス…)からのスタートでした。
それでもちょっとずつ知識を増やす中、家づくりに感じたことは

 

「メーカーがつくる家ってもしかして完璧じゃないのかも…?」
「高い買い物なんだから絶対に失敗したくない!」

 

と、まぁーーー見事に典型的な性能重視で頭でっかちになっていく私。
そして相変わらず駐車場にしか興味のない夫が完成しました。

 

【どんな家がいいと思う?】

 

幾度となく夫婦で話してきたお題。
でも何度夫に尋ねても、

「洗車したいから駐車場が広くて…」

 

…マジで家の外の話しかしない夫。

 

家が決まらないことや日々のストレスが限界突破した私は、この時かつてないほど泣きぶちギレました。
それはもう離婚を決意するくらいの勢いで。

 

「家建てるんじゃないの?」
「このままじゃ娘の入園までに引っ越せないよ!」
「いいかげん家について真面目に考えてよ」
「自分がローン組むのになんで他人事なの?」

 

夫に喋るすきも与えず、それはもう一方的に責め立てました。

夫はずっと黙ったままでした。

 

責めまくってひとしきり泣いた私は、本当にこれからも夫と一緒にいるべきかを考えるようになりました。

 

(夫はなんで家について全然考えてくれないんだろう?)

(正直こんな大事なことも話し合えないようじゃ一緒にいる意味あるのかな…)

(これからの想像がつかないだけ?でもそれは私だって同じなんだけど…)

 

ってか、私はただ便利な家がほしいんだっけ…?

 

 

…いや!

みんなで楽しく暮らすために家がほしい!!

 

と、自問自答しながらなんとか折り合いをつけ、もう夫に期待することをやめました。

私だけでも失敗しない家づくりのためにもっと知識をつけることを決意。

 

毎晩娘を寝かしつけた後、ごはんを食べる時間にyoutubeを見て家について勉強をしました。


最初こそ、私は家系のyoutube。夫は車の動画。

と二人とも別々で自分の好きな動画を見ながら食事をしていました。

でもある時、夫も一緒に晩ご飯を食べるのでたまーに家系のyoutubeを一緒に見るように。

youtubeで家の性能を話すとき、よく車に例えることがあったのも功を奏したのか夫も少しずつ家の性能について洗脳され始めました。

 

「家と車は似ているのかも…?」

 

と勘違いしたのかはわかりませんが、ここから少しずつ夫も家の外から家本体に目を向けるようになりました。(本当にほんとーに少しですが…)

 

 

会社さがしの難しさ

いろいろ学んだ結果、とりあえず性能を最低限満たすところを探すことになりました。
この時はまだ工務店ハウスメーカーなど幅広く探していました。

 

ちなみに、まだどのあたりに住むかもきまっていません…

 

まずは土地を買えて住みやすそうなエリアを絞って週末に訪れ、街並みや生活に不便がないかなどいくつかの駅を見て回りました。

 

でも、そもそも土地と建物の比率はどのくらいなのか

合計でどのくらいかかるのか

わからないなりになんとなくで進む日々…

 

まだまだ未知数ではありましたが、不動産屋さんへ土地さがしの依頼をして、並行して工務店ハウスメーカーさがしもしました。

 

希望エリアで性能を満たす会社。

 

ざっと見て20件を越える会社を比較をし、時には電話や資料請求。
もちろん新住協にも問い合わせて、お眼鏡に叶う会社を探していました。

そして、いくつか検討してやっとやっと巡り合えた会社がありました。

 

 

あすなろ建築工房

 

…ではなく、違うMという会社。

 

「もうここしかない!!」

と門をたたき、私たちの希望条件や家の予算など総合して伝えることに。


性能も最低限クリアできそうだし予算も大丈夫そう!

話はうまいこと進み、土地さえあればもういっちゃうか!!という感じでいました。

 

「今度、完成見学会があるから来ませんか?」

 

というお誘いもいただき、それはもう意気揚々と家路につきました。

 

「もうここで決定かもね!」


私はとにかく長かった家探しが終わりそうでホッとしていました。

 

 

そして数日後。

「では、こちらにどうぞ」

担当者に導かれて入った家。
コンパクトな家ながら吹き抜けから空が見える窓。
ダイニングとキッチンが横付けされたLDK

担当の方に話を聞けば聞くほど

 

(違う…これじゃない…)

 

と、なぜか私の心の中がザワザワしていました。

 

一通り話を聞き、私が聞きたかったことも質問しまくったあと、なぜか絶望しかありませんでした。

 

「もうここにお願いするつもりだったのに…」
「なんか違う…でもこの違和感がなんなのかわからない」

 

帰りの道中、車内でただひたすらにブツブツと言いながらがっくりしていました。

夫は何を言うわけでもなく、運転しながらただ私の話を聞くだけ。


「もう無理かもしれない…」
「会社さがしは結婚相手を探しているみたい。妥協できないけど本当に出会えるのかも不安だー!」

 

と、婚活くらい難しい?会社さがしに絶望しました。

ですが、このあとようやく運命の出会いをはたします。

 

 

家づくりから暮らしさがしへ

振り出しに戻った私たちは、一旦会社さがしも土地探しもお休みすることにしました。


そして、あらためて家を建てる意味を考えることにしました。

建てる意味を考えることで、M社で感じた違和感がなんだったのかを知ることが必要だと感じたからです。

 

「どうして家を建てるの?」
「建てた家で何がしたい?」 
「どんな景色をみたい?」

 

それはもうとにかく自由に、私も夫もお互いの意見を出し合い、相手を否定することなくただ聞くことにしました。

 

やっぱり夫は車。くるま、kuruma…

知ってた。ずっとそれしか言ってないから。

 

でも、夫が思い描く暮らしには車が不可欠なんだということもようやくわかりました。
そして夫は自分が望むことには、ちゃんと意見を持っていることにやっと気がつきました。

 

さて。私の希望はというと…

・洗濯がラク

・洗い物が面倒。絶対に食洗機

・寒い暑いは絶対にイヤ

 

なんともネガティブで誰かがつぶやいていそうな不満ばかり。
自分が楽しむ要素なんてこれっぽっちもない願いばかりでした。

 

このままだと、家を建てても私自身は空っぽのままかもしれない。

 

でも、私には夫みたいにこれが好きってものがない…

 

ここで私はやっと、家族で暮らす家さがしから
自分がこれからやりたいことへと考えをシフトした自分の暮らしさがしが始まりました。

 

そして、まず考えたのが私の当たり前が本当に当たり前なのかということでした。

 

「料理あんまりしたくない」

「本当に料理なんてしたくないのか?」
「ただ時間がないからかも」
「本当は簡単なお菓子なら作りたい!」
「洗い物しなくていいなら、ハンバーグもから揚げももっと作りたい」

 

夫と話合うなかで自分の今持っている不満、そしてその不満が解消されたらどんなことがやりたいのかに気がつくようになりました。

 

どんどん自分と向き合うことで、ようやくよーーーやく自分が目指す暮らしが見え始めました。

 

お互いの希望の暮らしを「あれも良いかも!」「こんなの楽しそう!」と夫と話す毎日。


黙食からのYouTubeをくらいつくように見ていたあのころ。

そのときとは比べ物にならないくらい、夜ごはんの時間が楽しくなりました。

 

相手の希望を否定していたころには考えられないような時間。

私が本当にほしかったのは、こういう時間だったんだと気がついた瞬間でした。

 

 

いちかばちか

ある時、会社さがしも振り出しになったのでノートに書いていた検討中の会社名をなんとなく眺めていました。


そしてノートにひとつ、ひらがなで書かれた


【あすなろ】


という文字に目がとまりました。

 

あすなろ建築工房さんは当初から私たちの会社リストに書いてありました。

でも、正直HPを見て


「ここめっちゃこだわりありそうだ…」

と、私たちのように家にたいして興味のない人は門前払いをくらうと敬遠していました。

 

そうです。ビビってました。

 

「ここ、雰囲気なんとなく好きだけどこだわり強そうだよね…」
「でも、門前払いくらっても一度話だけでもしてみるのもいいかも」

 

と、半ば勢いで問い合わせをすることになりました。

 

 

もうここしかない

メールでの問い合わせからはじめてお会いするまで、終始社長が対応してくださって驚きでした。

 

そして、あすなろ建築工房さんで話を聞けば聞くほど

 

「やっぱりここしかない」

 

と強く感じるようになりました。

 

 

一番印象的だったのが、あすなろ建築工房さんは私たちの家が完成することは


暮らしのスタート


だと考えていると言葉の端々に感じたからです。

そこに住む人たちの未来まで話を聞いてくれる。
一緒に考えてくれる。

 

今までに相談したどの会社にもなかった、私たち家族を見てくれていると感じる瞬間が幾度となくありました。

 

私が家を建てる会社に求めるもの。それは、


【私たちがこだわりたいところ以外を安心してお願いできること】


なのかもしれないと感じました。

 

あとから思うと、以前絶望した会社は自分の会社が建てた家に対してただの一つの箱という認識なのかなーと無意識に感じ取っていたことが違和感となっていたと思います。

 

私たちの工務店選びの決め手。それは、

 

好きでものづくりをする人たちに信頼してお願いしたい

 

ここがポイントだったように思います。

 

とは言っても予算や土地探し、人気工務店がゆえの待ち時間。

 

ここから先はもう課題がありすぎて気絶しそうだし、夫とももめるしでなかなか大変でした…

 

しかし、運命の相手を見つけたからにはどんな苦労もいとわないという最強の境地に達していました。

 

 

おわりに

4年前、私は家を建てる未来は考えていませんでした。


やりたいこともなく、ただ淡々と過ぎていく毎日に諦めさえ感じていました。

でも今、充実した毎日だと感じるのはあのとき家を建てるという決断をしたからだと思っています。

 

そして毎日を楽しく暮らせるようになったのは、あすなろさんにお願いしたから。

…ではなく(それももちろんありますが)

この先、家族のためでもなく自分のためになにをしたいかを想像したからだと思っています。

 

家は性能も見た目も大事。

 

でも、本当に大事なことは、中に住む人がからっぽにならないよう、
建てる家に家族の一部ではない、自分の存在を忘れないようすることが大切だと思っています。

 

私は30数年生きてきて、家づくりを通してやっと自分らしさに気がつくことができました。

 

長々と書いていきましたが、改めて振り返っても紆余曲折で終始私がキレ散らかしてる毎日でした笑

おうち迷子の方の参考になると嬉しいです。

 

長文読んでいただきありがとうございました!